今週の詩
ちひろのコメント
空が夜に染まるころ、その景色を着物の「紋付き」に例えて見つめています。着物のデザインは、日本の四季を感じる素敵なもの。それを逆に景色の中に着物のデザインを重ねているみすゞさん。「秋のくれがた」さんがきれいなお着物を着ているのです。心次第で、いろんな景色もいろんな見え方で楽しめますね。紋附(もんつ)き
金子みすゞしずかな秋のくれ方が、
きれいな紋附き着てました。
しろい御紋(ごもん)はお月さま、
藍(あい)をぼかした水いろの、
裾(すそ)のもようは紺(こん)の山、
海はきらきら銀砂子(ぎんすなご)。
紺のお山にちらちらと、
散った灯(あか)りは刺繍(ぬい)でしょう。
どこへお嫁(よめ)にいくのやら、
しずかな秋のくれがたが、
きれいな紋つき着てました。
草原
金子みすゞ露(つゆ)の草原
はだしでゆけば、
足があおあお染まるよな。
草のにおいもうつるよな。
草になるまで
あるいてゆけば、
私のおかおはうつくしい、
お花になって、咲くだろう。
ちひろのコメント
金子みすゞさんにとって、自然界の草や花はきっとリスペクトしている存在だと思います。そして大好きなんだと思います。草になるまで歩いて・・・自然界の中の一員である自分、一緒にその中で生きている喜び、そんな思いがとても伝わってくる気がします。私自身、ふるさと山口で過ごす中でそんな気持ちになる瞬間、とても嬉しくなる景色、大切なひとときです。「金子みすゞ童謡全集」(JULA出版局)より
金子みすゞの詩、写真は、金子みすゞ著作保存会の了承を得て掲載しています。
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金子みすゞプロフィール
『赤い鳥』、『金の船』、『童話』などの童話童謡雑誌が次々と創刊され、隆盛を極めていた大正時代末期。そのなかで彗星のごとく現れ、ひときわ光を放っていたのが童謡詩人・金子みすゞです。
金子みすゞ(本名テル)は、明治36年大津郡仙崎村(現在の長門市仙崎)に生まれました。成績は優秀、おとなしく、読書が好きでだれにでも優しい人であったといいます。
そんな彼女が童謡を書き始めたのは、20歳の頃からでした。4つの雑誌に投稿した作品が、そのすべてに掲載されるという鮮烈なデビューを飾ったみすゞは、『童話』の選者であった西條八十に「若き童謡詩人の中の巨星」と賞賛されるなど、めざましい活躍をみせていきました。
ところが、その生涯は決して明るいものではありませんでした。23歳で結婚したものの、文学に理解のない夫から詩作を禁じられてしまい、さらには病気、 離婚と苦しみが続きました。ついには、前夫から最愛の娘を奪われないために自死の道を選び、26歳という若さでこの世を去ってしまいます。こうして彼女の 残した作品は散逸し、いつしか幻の童謡詩人と語り継がれるばかりとなってしまうのです。
それから50余年。長い年月埋もれていたみすゞの作品は、児童文学者の矢崎節夫氏(現金子みすゞ記念館館長)の執念ともいえる熱意により再び世に送り出され、今では小学校「国語」全社の教科書に掲載されるようになりました。
天才童謡詩人、金子みすゞ。自然の風景をやさしく見つめ、優しさにつらぬかれた彼女の作品の数々は、21世紀を生きる私たちに大切なメッセージを伝え続けています。
(金子みすゞ記念館ホームページより)
みすゞさんとの出会い
2003年(平成15年)1月21日、私は東京から山口へ帰郷しました。
作曲家活動の中で、自分の音楽の方向性を見失い、もう一度自分を見つめなおそうと思ってのことでした。
偶然にもその年は、みすゞさん生誕100年の年でした。
私が12歳の時に、父が買っていた1冊の詩集「わたしと小鳥とすずと」(金子みすゞ童謡詩集)を初めて手にとり、ページをめくりました。
ズキンズキンと心臓が鳴るのがわかりました。
「これだ…ここに私が歌いたい心がある…」
みすゞさんは、命あるものなきもの、見えるもの見えないもの、
全ての存在へ優しく深い眼差しを向けている…。
その世界の中で私たちは、尊い命を与えられて生きている。
命、絆、ご縁、全てのつながりに感謝をし、今を自分らしく生きて行く。
そのためのメッセージが、やわらかく、眩しく、描かれている。
「この詩に曲をつけて歌いたい」
この出合いの瞬間から、私は再び音楽の道を歩み始めました。
みすゞさんが伝えてくれる大切な心を、
ずっとずっと、歌い語っていきたい。
こだまし合う、一人として。
ちひろ
ちひろのコメント
空が夜に染まるころ、その景色を着物の「紋付き」に例えて見つめています。着物のデザインは、日本の四季を感じる素敵なもの。それを逆に景色の中に着物のデザインを重ねているみすゞさん。「秋のくれがた」さんがきれいなお着物を着ているのです。心次第で、いろんな景色もいろんな見え方で楽しめますね。